2014/12/11

海外営業の仕事内容について

海外営業の仕事内容について簡単にまとめてみる。(業界によっても営業のスタイルが異なるため、参考までに。)

海外営業というと世界を飛び回る派手なイメージがあるが、顧客との言語と文化が異なるだけで、基本的には国内営業で求められるスキルとあまり変わらない。

しかし、国内営業でもB to Bなのか、B to Cなのか、直販なのか、代理店営業かなどで「営業」といっても多種多様であるように、海外営業においても様々なスタイルがある。

弊社の場合は、海外代理店を通して拡販活動をしているため、「代理店営業」に分類される。その中でも、すでに既存の販売網がある1) ルート営業と、新たな市場を開拓する2) 新規開拓営業がある。今回はこの2つのスタイルについて紹介したい。

1) 海外ルート営業について

海外代理店との既存の販売網があるため、如何に顧客との関係を維持し、売上を伸ばしていくかがポイントになる。

主な業務の流れは1) 代理店への製品の提案、2)見積、3)受注、4)代金回収、5)船積み(出荷)という手順を踏む。

また、1ヶ月に1度の海外出張があり、代理店への定期訪問、打ち合わせ、新製品情報の紹介、情報交換、市場調査がある。代理店との接待も多い。特に欧州担当は一度の出張で何カ国も周るケースが多いので、体力的にもハードである。

2) 海外新規開拓営業について

未開拓のエリアの市場で販売網を構築することが求められる。

販売網を確立するために、信頼ある代理店を見つけることが始めのステップになる。業務の中心は販売会社へ自社製品の取扱いの打診、製品の紹介、代理店契約をまとめるまでである。展示会などを活用し、引き合いのあった代理店とコンタクトをとるケースをも多い。

ルート営業と比較すると、新規開拓営業では総合スキルが求められる。英語での価格交渉、プレゼンスキルはもちろん、契約書の知識、市場知識などが要求される。マネジメント経験もあるレンジの上の人が担当することが多い。

また、海外への長期出張が多く、一年の半分を海外で過ごすこともある。出張先もアフリカなどの発展途上国が多く、体力が求められる。

3) 海外営業のキャリアについて

1)ルート営業で基礎を身につけたあと、2)新規開拓営業としてキャリアを積むケースが多い。また、ある市場に特化した「スペシャリスト型」、いろいろな国での経験を積んだ「ジェネラリスト型」の海外営業がいる。

スペシャリスト型では、特に中国や中近東地域など、特殊な市場を経験した担当者に多い。経験を積めば積むほど、市場知識や現地とのコネクションがストックされるため、社内からの重宝される。また、スペシャリスト型→マーケティングのキャリアパスも存在する。

私自身は、中近東エリアからのスタートなので、市場に特化したスペシャリスト型でキャリアをドライブするのも悪くないかなーと思ってみたり。

以上、海外営業の仕事内容についてのエントリでした。

2014/10/27

仕事のトラブルについて

久々に前職の同期と再会した。私のキャリアチェンジ後だったこともあり、もっぱら仕事の話が中心だった。

昔の話をすると、私は半導体商社のプロダクトセールスとして社会人のスタートを切った。後述するけれど、日々の仕事はとても苦労が多かった。。。

同期と話をする中で、仕事をする上での大事な気づきがあったのでメモとして残したいと思う。

ある同期から下記のような質問を受けた。

「会社変わったらしいけど、新しい仕事をする中で、どのようなトラブルが日常的に起きて、それに対してどのようなバリューを出すことが求められるの?」

電子部品業界らしい質問だなと感じてしまったが、これは仕事をする上で大事なヒントを与えてくれる。

この教訓について話す前に、"電子部品業界はトラブルがつきもの"という話から始めよう。

私が携わったプロダクトセールスの業務範囲は、海外からの電子部品の仕入れ、国内顧客への提案、販売までが求められた。

お客さんへの提案から量産注文を受けるまで様々な問題が次々と起こる。

品質問題、納期トラブル、販売先からのコストダウン要求、納品後の不具合と多岐にわたり、日々 仕入れ先、お客さんとのトラブルシューティングに追われる。

ここで始めの質問に戻りたい。

「仕事をする中で、どのようなトラブルが日常的に起きて、それに対してどのようなバリューを出すことが求められるのか?」

同期が気づかせてくれたのはトラブルがあるから、自分のバリューがだせるという大事な視点である。
自分がいなくても、仕事が順調に進むのであれば、自身の存在価値はゼロだ。

トラブルが起きるから、仕事は面白い。(逃げたくなるけども。。。)

常にProblem Solverとしての視点を持ちたいという彼らがカッコよくみえた。

自分も負けないようにがんばろう。

2014/06/21

キャリアドリフトという選択について

先日参加した勉強会は「キャリアドリフト」のケースだったので、いろいろと学びをアウトプットしてみる。

1. キャリアドリフトとは?
“Drift”とは漂流するということ。長期目標から逆算してキャリアを積み上げていくのではなく、出会いやチャンスを柔軟に受け入れながら、キャリアを形成していく考え方である。

スポーツ選手などは幼年期に一つの目標を定め、ゴールから逆算していくケースが多いが、キャリアドリフトはそれとは真逆の考え方である。ジョブスのConeecting the dotsの考え方にアプローチが近い。
スポーツ選手型、また②同業種転職型は一つの分野に時間を投資し、プロフェッショナルを目指していくタイプ。

マルコム・グラッドウェルの「天才の作り方」ではプロとして才能を発揮するには10000時間の練習が必要とのことだが、この実践者も①に分類される。

③キャリアドリフト型は、人との出会いや外部のチャンスをキャリアの転機とみなし、たとえ自分の専門外であってもとリスクをとりながらキャリアを形成していく。

個人のキャリアの8割は偶然の結果という研究結果にもあるように、周りを見渡しても③のようなアプローチを無意識にとっている友人も多く見受けられる。

2. キャリアドリフトの時期について
キャリアドリフトの時期は20 代に限定するべきだ。

確かにドリフトを繰り返し、いろいろな職種、働き方に触れることで、自分の方向性、向き不向きなどがみえてくる。

ただし、ドリフトのリスクは「専門性がストックされない点」にある。
気づいたときには、自分のコアスキルが形成されておらず、市場で淘汰されてしまう。

したがって、ドリフト時期を自分の中で限定しておくのもポイント。

20代はトライアンドエラーを繰り返し、自分の勝負分野を決める。そして30代で自分のコアスキルを形成していくというアプローチが現実的だと思われる。

3. キャリアドリフトのタイミングについて
ドリフトのトリガーは下記であることが多い。

①   チャンスにめぐりあったとき
②   仕事に違和感を感じたとき、大きな失敗をしたとき

私も社会人4年目にしてすでに2社目のキャリアであるが、過去を振りかえると転機は①②の複合的な要素が強かった。特に"①チャンス"に関してはいろいろと苦い経験がある。

まず、"チャンスは貯金ができない"ということだ。チャンスのタイミングは自分で選ぶことができない。

海外担当部署で社内公募が出た、エージェントからいい求人を紹介された、だとかトライできるチャンスは突然やってくる。自分のスペックと条件のギャップがある場合、Applyすることもできないし、準備をしている間にチャンスはすぐに去ってしまうものである。

常にチャンスに備えて普段から自己投資をするということも重要な要素である。

自身のキャリア論については、昔 「キャリアプランは持つな、海図をもとう!」でも触れたけれども、当時書いた"チャンスに備えておく"というポイントだけは外れてなかったなと思う。

以上、キャリアドリフトについてでした。

2014/06/04

「場所」から始めるキャリア選択

就活時代に大切にしていた記事がでてきた。

ゴーン氏のキャリア選択に関する古い記事であるが、ちょっとした気づきがあったので紹介。

1. 「場所」から考えるキャリア

ゴーン氏の記事で当時 衝撃を受けたのは、キャリア選択の優先順位として「働く場所」からスタートしている点だった。

「私の場合は、当時は大事な順に①ブラジルで働く②給料が良い③車の関連業界、となり最終的にミシュランを選びました。」(朝日新聞be連載コラム 2008) 

周りの仲間の場合は、
1. 興味のある業界 2. 会社  3.場所という順番で道筋をたてるか、
もしくは1. 業界 2. 職種 3. 会社の順に候補を絞っていくケースが多く、ゴーン氏の選択軸は新鮮だった。もっとゆるーくシンプルに考えてもいいんだと思ってしまった。

2 . 海外では意外と「働く場所」を重視する?

日本においては企業が首都圏に集中しているため、一部の層(海外志向 or 地元志向)を除き、キャリア選択の際に「住む場所」はあまり話題にならない。

しかし、海外では「住む場所」は意外と学生の間でホットなテーマである。

例えばアメリカでは地方都市ごとに盛んな業種が存在するため、「住む場所」からのキャリア選択が容易である。また、彼らは特定の土地への執着も強く、「僕は南部育ちだから、南部の企業に就職したい」というような学生も多い。

下記の記事(This Map Shows The Largest Employers in Each State)ではアメリカにおける州ごとに影響力のある雇用先をまとめている。全部マクドナルドになるかと思ったら、意外と色々な企業があり興味深かった。

これだけ地域によって企業のバラエティが富んでいると、キャリアメイクの際に、1. 住みたい場所、2. その地域で盛んな業界、3.職種 というような決め方も戦略的にはありだ。

3. 「働く場所」が選べる時代

私の場合は業種を決めてから場所を決めてしまったのだけど、ライフスタイルを軸にしたキャリアメイクの視点も大事だなと改めて思った。

いまではITインフラも整備され、働き方も多様化しているので、「場所選び」からスタートするキャリアは今後 国内においても増えていくはずである。

2014/06/01

中国の若者、80后(バーリンホウ)の特徴について

「80后(バーリンホウ)」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

80后という言葉だけで一冊の本が出来てしまうほど面白い分野なので、とても一言では纏めることが出来ないが、今日は簡単に彼らの特徴について触れてみたい。

1. 中国における80后(バーリンホウ)とは何なのか?

80后とは80年以降に生まれた世代を指す。日本では団塊世代、ゆとり世代など世代でカテゴライズすることが多いが、中国では地域間における違いが顕著であることから、あまり世代論が生まれてこなかった。

しかし、近年では「80后」は中国を語る上で、切り離すことのできない。
70年代、80年代で中国で何が起き、どのように80后という世代が形成されたのであろうか。

タイムスリップをして、中国の歴史を振り返ってみたい。

1976年 文化大革命終了
1978年 改革開放政策開始
1981年 ペプシ 中国市場進出 
1987年 ケンタッキー 中国市場進出(北京 一号店オープン)
1990年 マクドナルド 中国市場進出(深セン 一号店オープン)

つまり、80后の若者は改革開放政策後に生まれた世代であり、幼年時代から外国の文化、外国製品に影響を受けてきた。70年生まれと比較すると、海外トレンドに敏感で、ネットを使いこなし、消費も活発なのである。

2. 80后の特徴について

中国の若者研究で知られる原田氏は、80后の特徴を下記の通りまとめている。

・市場経済とともに育った世代であること
・一人っ子が多く、わがままな傾向がある
・高学歴が多く、ホワイトカラーで働く人が多い。留学組の海龟も多い。
・ITリテラシーが高く、ネットで情報を発信をする

上記のように、ライフスタイルもあまり日本の若者とあまり変わらない。
私たちがFacebook、Twitter、LineなどのSNSでコミュニケーションをとるのと同様に、80后も中国のLineであるWechatやミニブログのWeiboで情報を発信する。

私のWechatはこんな感じ。
Wechatを始めて1年半が経過したが、彼らとの交流はとても楽しい!レストランに入れば、食べ物の写真をとり、ネット上でコメントをし合う姿は日本の若者のようである。

3. 企業にとっても80后な重要なターゲット

消費の活発な80后はすでに2.5億人に達しており、中国市場を開拓する企業にとっても大きなボリュームゾーンとなっている。

そのため、如何に彼らを市場に取り込み、自社製品のファンになってもらうかがキーといえる。

以上、80后に関するエントリでした。

2014/05/31

社会人のための語学学習について


過去の経験上、外国語ができるようにならない理由は下記2つであった。

1) 勉強法が適切ではない
2) 勉強量が足りない。

今回は1)の勉強法に関するエントリである。アラビア語、中国語であっても 語学学習には共通するコツがあり、正しい勉強をすれば誰でも上達する。
下記の通り、勉強法をまとめてみたい。

Step1. 勉強の目的を明確にし、学習のスコープ(範囲)を絞る

語学の学習に終わりはない。ネイティブレベルを目標にすれば、人生の半分は語学学習で終わってしまう。語学は単なるツールにすぎないのに、それらに多大な時間を費やすのはもったいない。

まずは自分の目的に合わせて、勉強するスコープ(範囲)を決めよう。

例えば英語であれば、海外との電話応対をするためなのか、プレゼンをするためなのか、家族との海外旅行なのか、英語面接の突破なのか、もしくは女性を口説きたいからなのか、これらを明確にする。

ポイントは細かくスコープを絞ること。

電話応対でも、先輩社員に海外からの電話を取り次げばいいのか、英語で納期回答ができればいいのか、価格交渉をすることが必要なのか。目的によって使う英単語も異なるため、よりシチュエーションを狭く設定した方が貴重な時間を無駄にしなくてすむ。

Step2. フレーズを丸暗記

勉強のスコープを絞ったら、関連フレーズを丸暗記しよう。

もし目的が「海外からの電話を先輩社員に取次ぐこと」
であれば、書店にいって電話応対のフレーズの書籍を3〜5冊ほど購入する。ここでも、すべてのフレーズを覚えるのでなくて、自分の目的に沿ったフレーズだけをピックアップし、気合で頭に叩き込もう。

暗記の仕方も、ただ”意味がわかる”というレベルではなくて、瞬時にフレーズを発信できるまで練習しよう。反復あるのみである。

ちなみに、私はEvernoteにフレーズをまとめている。
電話バージョン(英語)はこんな感じだ。


覚える際のポイントは、世界と言葉をつなげようとすること、つまり実際に使う場面を想像しながら声に出して覚えることが上達のコツだ。

Step3. 暗記したフレーズはすぐに使ってみる

暗記したフレーズをアクティブレベルまで引き上げるにはOutputが不可欠だ。覚えたフレーズはすぐに使ってみる。

普段 仕事で英語を使う機会のある人は、そこで使えばいいし、現在 留学中の恵まれた人は思う存分 現地でアウトプットしよう。

日本にいても語学を使う機会はたくさんある。中国語であればWechat、Weiboがあるし、英語であればオンライン英会話が充実している。

基本ステップ1〜3のサイクルを回していけば、必ず語学は上達する。

応用編 . 自分に関する1分間スピーチを作成する

フレーズを覚えただけでは、外国人との飲み会、パーティー、デートだとかに対応できない。フレーズで簡単なコミュニケーションはできるけれども、ディープな会話ができない。。。そんなときは「自分のことに関する1分間スピーチ」を作成しよう。

例えば趣味、出身地、愛読書、スポーツ、旅行経験、好きな映画、 好きな食べ物、自分の専門分野についてなどなんでもいい。 ビジネスパーソンであれば「自分が過去に何をしてきて、何に現在 問題意識があって、将来 何がしたいのか」を3分間で語れるとかっこいい。

語学はツールであり"話すコンテンツ"がすべてなので、発音がダメダメでも、相手から"この日本人は面白い!"と思わせたら目標達成である。私も引き続きがんばります。。。

以上、語学学習に関するエントリでした。

2014/05/29

海亀の行方について

留学時代に購入した本をパラパラみていたら、久々に海亀(Haigui)という単語が目に飛び込んできた。

本書では中国でイノベーションが起きやすい要素の一つに、「海亀が人材資源として機能していたこと」を挙げている。

今日は海亀の現状と彼らの行方について追ってみたい。

1. 中国における海亀とは?

中国語の"海外から戻る"という意味の「海帰(haigui)」の発音と、
「海亀(haigui)」が似ていることから、海外留学し自国に帰国する若者を海亀と呼んだ。
 海亀は海外で学んだ最先端のビジネスモデル、テクノロジーを自国に持ち帰ることから国内労働市場から貴重な人材として受け入れられた。

国内で起業する若者も多く、Baiduなどの検索サイトも海亀から生まれた。

中国経済の発展、イノベーションの裏には彼らの存在があったのである。

 2.  海亀は海帯(haidai 昆布)と化している現状

Economistの記事によると、最近では海亀は労働市場において力を失ってしまったようである。

景気後退、国内組の熾烈な就職戦争などにより、中国に帰国しても就職先がなく、就職浪人する学生が増えている。

最近では仕事が見つからない海亀を、海帯(haidai 昆布)と呼ぶことがある。(中国語の「待dai」を同じ発音の「帯dai」と置き換えた言葉)

現在は中国国内でも有力MBAが増えているし、国内で学んだ学生の方がアメリカ帰りの海亀よりも、中国市場に精通していることや、また企業文化についても合いやすいため、企業は国内学生を優遇しているとの声もある。

3.  海亀、海帯は世界で職を求めている

上記の現状から、最近では海外の大学を卒業したあとも、現地に残るケース、また母国以外で仕事を探すケースが増えている。

この現状は我々日本人にとっても、他人事ではない。

彼らは中国国内よりも年収を高く提示する日系企業にも就職先を求めて、門をたたいている。

日本の労働市場においては、「日本語」という壁で守られているものの、労働マーケットにおける彼らとの椅子取りゲームはすでに始まっている。

以上、海亀に関するエントリでした。

2014/05/28

市場が成熟するとカラフルな製品が増えるけど?

近年カラーマーケティングが注目を集めている。

Samsungは昨年度、UAE向けにブラウンゴールドのiPhoneを投入したし、タイでは家電メーカーがカラフルな色物家電で市場を開拓している。

一般的に市場が成熟化すると、製品の機能的な価値以外に、色やデザインなどの感性的な要素で付加価値をつける傾向がある。

 海外マーケティングにおいて、カラーの要素はどのような影響があるのだろうか。

まずは代表カラーの赤を例に考えてみよう。

1. 中国人の赤、アラブ人の赤は異なる?

一般的に中国人にとっての赤は、人気カラーの代表色である。

おめでたい色、金運をもたらす色、政治の色、情熱の色などといわれてきた。

ただし、国によってイメージや印象は全く異なる。

例えば、アラブ人にとって赤はあまり好まれない。一般的に赤は彼らにとって血、危険、悪などネガティブなことを連想させてしまうのである。 

2. 色の嗜好は時代によって変化する?

中国で人気の赤だが、最近は彼らの嗜好が変化している。
調査会社のエー・アイ・ピーによると、現在人気のトレンドは青であるようだ。


欧米や日本発の流行、韓国ドラマなど、外部からの影響によって色の好みが変化することが多い。

3. 効果的なカラーの選定条件

しかし、上記の調査においても、中国では今もなお、赤は根強い人気がある。

どの国でも、昔から人気のある代表カラーがあり、それらは当然 色の選定の際には重要である。例えば、サウジアラビアやエジプトでいえばゴールドである。

カラーの選定のポイントをまとめてみた。

選定の際の構成要素としては、1. 基本的な国の嗜好カラー、2. 流行トレンド、3. 競合他社と差別化になるような特徴カラーを考慮し、色を選定するのがポイントかと。

色によるマーケティングは関心分野の一つなので、今後も中近東、中国市場を中心にフォローしていく予定。

以上、カラーマーケティングに関するエントリでした。

2014/05/27

教養を語る人

社会人になってから学んだことの一つに「教養の大切さ」がある。

ここでの教養とはマルクスやケインズのような古典ではなく、

社会問題に対する知識、それに対する自分の意見である。


今回は自身の失敗談も交え、教養の大切さについて考えてみたい。


1. 車の中での出来事

 

社会人1年目の夏であった。


アメリカからのサプライヤの来日に伴い、彼らを空港からホテルまでピックアップする機会があった。


空港からの1時間半、現地のマネージャーと2人きりというシチュエーションは貴重であったが、すぐに話のネタがつきてしまった。


当時は緊張もあったし、自身の英語力不足ということもあったが、一番の原因は自分の教養/知識、意見のなさ”と分析している。

 

例えば、

 

・いま 何が世界で起きていて、何のトピックに問題意識があって、それに対してどんな意見をもっているのか。


・業界における日本市場はどうなっていて、何が問題で、それに対してどのような打開策・アイディアをもっているのか。

 

そんなコンテンツを相手にぶつけることができたら、自分の名前くらい憶えてくれたのにな、、、と反省した。


2. 接待、パーティー、社交の場で教養は活きてくる

 

ジャーナリストの池上彰氏が


海外のパーティーで日本人は話ができないといわれる。

残念なのは日本人は自分の意見や教養など語るべきことを持たないのを"英語ができないせい"にしている。


とコメントしていて、あぁ耳が痛いなと感じてしまった。

 

英語の発音がプアでも、コンテンツがあれば話を聞いてもらえる。


海外の人たちが普段どんな問題意識をもっていて、何がキーワードになっているか。また、それに対して自分はどう思っているのか。


一朝一夕には教養は身につかないが、日々アンテナを張りつつ仕事をしたいものである。

2014/05/26

貿易知識の重要性

海外営業の基礎として、「貿易知識の理解」が挙げられる。

会社によっては輸出部、海外営業部のように部署が分かれていたり、営業と船積み業務で職種が異なることも多く、直接は業務に関わらないのではなかろうか。しかし、海外営業においても、最低限度の貿易知識は必要である。

1. なぜ貿易知識は必要なのか?

国内取引と比較をすると、海外取引には多くのリスクが存在する。代金回収リスク、貨物の事故リスク、資金負担リスク、為替変動リスクなどがそれにあたる。

上記のリスクを如何に少なく、また回避をするために貿易取引では様々な仕組みが考えられてきた。営業活動においても、リスク回避の視点は重要であり、特に代金回収リスクは避けて通れない。

したがって、インコタームズ(FOB、CFR、CIFなど)、支払い条件 (前受け、後受け、L/C...)、輸出業務の全体像については、頭に入れておく必要がある。

2. 貿易実務、書類作成が嫌いな人へのヒント

書類の作成は非常に面倒であり、好きな人は少数ではなかろうか。書類の項目は細かいし、特にL/C関連の書類は一つでも間違えるとディスクレになる。しかし、書類作成は貿易用語を理解するチャンスでもある。

下記2点の視点を持つことで、貿易用語に対する理解を深めよう。

  • なぜその手続きが必要なのか?
  • その手続きは誰にとって、どんなリスクをカバーしているのか

例えばL/C取引であれば、輸出者にとっては代金回収リスクの回避、資金負担の軽減、
また輸入者に対しては商品入手リスクを回避している。

単調な仕事であっても、自分の仕事の意味、背景について考えると理解が深まるし、仕事も面白くなる。

3. 貿易用語は世界の共通言語

貿易用語は商用共通言語である。サウジ、中国、ロシア、どこでも同じ言葉が使用される。"言葉の意味がわかりません。。。"では話にならない。

海外の顧客から「次回からL/Cではなく、D/Aで取引したい!」と提案されても、怯まずに相手と交渉しよう。

以上、貿易知識に関するエントリでした。

2014/05/25

時間の概念の違い Mタイム/Pタイムについて

取引先が返信の期限を守ってくれない。リマインドのメールをしても返信がこない。海外ビジネスにおいて、時間のトラブルは日常茶飯事であり、誰もが苦い経験をしているのではなかろうか。

入社当時 私はアメリカからの電子部品の仕入業務に携わったが、アメリカ人である彼らはよく期限を守ってくれた。遅れる場合でも、遅れる理由、期限の再提示をしてくれたものである。

だが、取引相手がアラブ諸国となると非常に苦労する。期限内の送金も守らず、音信不通になるケースも珍しくない。今回は異文化マネジメントの観点から中東ビジネスおける時間の感覚の違いについて考察してみたい。

1. Monochronic Culture versus Polychronic Culture

文化人類学者であるEdward Hall(1914〜2009)は時間の捉え方について二種類に分類した。

Monochronic(Mタイム)/Polychoronic(Pタイム)である。一般的にアメリカ、カナダ、北欧、日本などはMタイム、南米、中近東はPタイムとカテゴライズされる。
特徴は下記の通りである。

Mタイム
  • 時間軸が一つであり、一度に一つのことしかやらない
  • 物事は順序よく進め、約束は守り、時間に正確
  • Time is Money(時は金なり)
Pタイム
  • 時間軸が2つ以上あり、複数のことを同時に行う
  • 時間にルーズな側面があり、約束に遅れたりするが、人間関係を重視する傾向がある
  • 時間が無駄に感じることはない。
時間の捉え方の違いは、Results versus Relationshipsの概念とも通ずるものがあり、
Mタイムの人間は結果を重視する→時間軸が1つしかない→時間を大切にする→時間を守る
Pタイムの人間は人間関係を重視する→時間軸が複数ある→時間にルーズ
という図式が成り立つ。

メキシコの海外営業担当者によると、Pタイムのメキシコでの"tomorrow"は明日という意味ではなく、"not today"つまり"今日はできない"という意味で使われることが多いと聞く。時間の概念の違いを理解していないと厳しいものがある。

2.  アラビア語のイン・シャー・アッラーについて

アラブ諸国とのコミニュケーションにおいて、期日の設定の際に頻繁に使われる用語が"イン・シャー・アッラー"(もし神が望んだならば)である。

例えば 
「明日までに送金してくださいね。」「わかりました。イン・シャー・アッラー」
などである。

アラビア語のテキストでは、このフレーズに「必ず」という意味で訳されることが多い。だが、上述のようにPタイムの傾向があるため、慎重なコミュニケーションが必要だ。必ずしも"イン・シャー・アッラー"で約束が守られるとは限らない。

3. 理論(Theory)は地図である

以前のエントリでも述べたが、理論は"地図"に過ぎず、必ずしも現実と一致するわけではない。例えば中東諸国でもイスラエルについては、Result oriented cultureであり、Mタイムの傾向が強いし、そもそも企業文化/体質によっても時間の概念の捉え方は異なる。したがって、海外ビジネスにおける"地図の一つ"として今回のMタイム/Pタイムの概念を捉える必要がある。

以上、時間の概念に関するエントリでした。

2014/05/18

第二外国語は必要か?

大学時代は英語学習に傾倒していて、第二外国語を全く勉強しなかった。この手の学習は一部の語学マニアのためにあり、それらに時間を投資するのは無駄であると考えていた。

誤解を恐れずにいえば、英語さえ出来れば、仕事でも通用すると思っていたのだ。

そんな英語びいきな私も社会人になり、実際にビジネスの現場に出てみて、第二外国語の重要性について改めて考えさせられた。今では中国語学習は3年目、アラビア語は3ヶ月目に突入した。

これは第二外国語の習得は"無駄ではない"というエントリである。(ただ、万人にはオススメしない。新しい言語を学ぶことはタフなことであるし、多大な時間を投資することになるからだ。学習のチョイスは慎重に。)

1. ビジネスにおける第二外国語を学ぶ意味

私はメーカーでの海外営業という職種柄、海外との接点は多い。現在は中近東に自社製品を拡販することがミッションである。

海外とのコレポンは9割が英語である。中国などの特殊な市場を除いては、顧客とは現地語ではなく英語でやり取りをするのが一般的だ。

ただ、海外出張で顧客とFace to Faceの打ち合わせをする際に、第二外国語はその威力を発揮する。挨拶、名刺交換、自己紹介、簡単なことでもいい。現地語で顧客と冒頭のコミュニケーションができるだけで、相手の印象が180度変わる。

特に華僑圏や中東地域は、ビジネスにおいて関係が重視されるため、現地語での挨拶は非常に有効である。文化に対する敬意につながるのだ。

2. 味の素の「3つの現」

食品メーカーの味の素の海外営業では「3つの現」が大事にされている。
それは、

1)現地語を話す
2)現地語の食を愛する
3)現地の人を愛する

というコンテンツである。

海外営業の仕事はかなり泥臭く、パートナーとの信頼関係がキーになる。文化の違いを乗り越え、関係を構築することは、机上のロジックを駆使してもなかなか上手くはいかない。

仕事をする上で、自分の担当地域の現地語を学ぶことは、上述のようにメリットになるはずだ。

※追記: 中国ビジネスにおいては、交渉においても現地語を使う機会が大変多いため、通訳者がいない場合、担当者の高度な中国語が不可欠である。挨拶や日常会話だけではなく、専門用語などの単語のビルドアップが必要になる。