2010/04/26

文系学生に未来はあるのか?

ばった君の「日本人文系に未来はないのか?」を読んでのエントリ

私も生粋の文系学生の一人であり、この話題にはかなり敏感である。結論からいえば理系の方が文系と比較してビジネスにおいて有利という仮説をたててみたい。

1. 文系学生>理系学生?/生涯賃金からの考察

文系・理系の生涯賃金の格差については、松繁寿和(大阪大学大学院助教授)の調査が著名である。国立大学の文系学部と理系学部の卒業生を対象に、その時点での年収を尋ねたところ、大学卒業直後は理系出身者の収入が高いが、管理職世代になるにつれて文系のほうが高いという結果が出た。

生涯賃金をシミュレーションすると、文理の格差は5200万円。家1軒分ほど、文系が生涯賃金で理系を上回るという。この原因として出世スピードの差を指摘している。エンジニアなどは上級職のポストが限られていることが関係しているらしい。

一見上記のデータから考察すると文系学生の方が賃金面において有利に見えるが、企業の寿命が短くなった今この通説は崩壊している。従来の賃金カーブが機能しないのは自明の理であり、出世競争で生き残れたとしても過去のような高給は保障されない。したがって生涯賃金から理系、文系に甲乙をつけるのには無理がある。


2. 理系がビジネスにおいて有利な理由

①数理ファイナンスに強いこと

ばった君の「文系に明日はないのか?」というエントリで興味深い指摘がされていた。

「昨日のコンパで、OBさんで外資系一流アセットマネジメント会社に入ってるOBさんと話しました。

その人が言うには、まず「文系の大学生は一流になれない」とのこと。
その人も文系なのですが、文系としてアセットマネジメントのトレーディングという部門で働いてきたことからの実感だそう。
文系の人間はコミュニケーションでしか勝つことができません。金融やマネジメントという数字を追いかける業種においては、統計学・数理ファイナンスを利用できる理系人間に結局のところ大事な仕事は集中します。

つまるところ自分が上に行きたいと感じているならば、文理系とわずその分野の専門知識をつけた上でコミュニケーションスキルを磨くしか方法はないようです。」

②専門を活かせること

2点目は彼らが学んできた専門科目を活かせることである。以下は有名なI型、T型、π型モデルである。横幅がバックグランド、縦幅は専門性を指している。



大前研一は「ビジネス上でサバイブするには以前は1つの専門を持ったT型が主流であったが、今後は2つの武器を持つπ型人間がスタンダードになる」と指摘していた。

理系学生でプログラミングのソースコードが書ける人は多い。さらに彼らは企業に入社後、ビジネスの世界に参入し、間単にファイナンスやら会計の知識を身につけてしまう。典型的なエンジニアであっても、彼らはMBAをキャリアチェンジに用い、ビジネスライクな生き方を歩んでいくことが可能だ。大前研一も早稲田の理工→東工大院→MIT→日立製作所→マッキンゼーという理系型のキャリアである。

また留学時代に出会ったインドからの留学生はIT(プログラミング)×会計×英語を当然のようにレバレッジを効かせていた。アジアの学生はπ型、もしくはそれ超えた「3本型」が主流である。いうまでもなく、文系学生は彼らに淘汰されてしまうだろう。

3. 文系学生に未来はあるか?

私たち文系学生に残された道は以下の2つしかない。理系学生のようにスペシャリストとして生きるか、またはジェネラリストを目指すかである。

①スペシャリストとして生きていく

1つ目は理系学生のようにπ型を目指す生き方である。経済/経営学出身の学生は会計、ファイナンスマーケなどの科目に慣れて親しんでいるので、それを磨いて自分の専門にしていくことが近道である。周りの優秀な文系学生は国家資格を目指し、専門職につく場合が多い。また会計系科目に加え、プログラミングを習得できれば理系学生と対等に戦うことができる。しかし確固たる努力が必要だ。

ちなみに渡辺氏は「ITアントレプレナーになりたい若者のみなさんはプログラミングを習得しましょう」という記事で、コードにできる重要性を説いていた。

②ジェネラリストとして生きていく

以下はtabbataさんのTweet
「ゼネラリストってのは、メタ思考とリーダーシップに関する専門家、複数の事象をまたいだものに普遍性を見出し、人間のモチベーションをマネジメントすることの専門家であるべきなのではないだろうか」

文系の強みはコミュニケーションである。活躍している起業家達は意外にも文系出身者であることが多い。それは理系学生と比較をすると、彼らの方が営業が得意であり、さらに人材管理に長けているからだ。優秀な文系学生は得意の人間力やネットワークを活かして、会社を興していく。

4. まとめ

文系と理系を比較してきたが、ポイントは「自分の適性を知ること」である。スペシャリスト型の参謀に向いている人間もいれば、Topで管理する経営者タイプもいる。まずは自身を見極めることである。

以上、生粋の文系である私に自戒の念も込めてのエントリでした。

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