2010/12/02

職人として生きるということ

フリーランスとして著名な中谷彰宏氏は人間の生き方を3つに分類している。経済人、政治人、そして「職人」である。経済人は富を求め、政治人は名声を求め、そして職人はロマンを求めるということだった。職人としての生き方は当時の自分には理解し難いものであったが、最近ではそれが最も洗練されているように感じるのである。

鬼瓦をつくる「鬼師」という職人の話を伺ったことがある。鬼瓦とは大棟の端についた鬼の顔をした瓦である。その鬼瓦を復元させ後世に伝える機能を担うのが鬼師である。

彼らは富、名声ではなくて、如何に後世に伝え続けるかを使命としていた。つまり500年前に別の鬼師によって復元された鬼瓦に手を加え、そして次の500年後の世代に伝えていくのである。それは過去、未来との対話でありそれはロマンがあるというお話を伺った。時代のスケールの大きさに圧倒されてしまったことを思い出す。

ドーキンスの「利己的な遺伝子」ではMemeという新種の自己複製子に関して論じられている(1976 Dawkins)。Memeとは人間の文化や思想などの模倣の単位を指し、遺伝子同様に後世に伝達する働きをする。

つまり肉体としての人間は80年程度しかもたないが、私たちの思想や文化は他者への伝達によって100年、もしかしたら1000年単位で生き続ける可能性があることを彼は本書の中で指摘している。すなわち誰もが「職人としての機能」を先天的に兼ね備えていることを意味しているのではなかろうか。

ボクも経済人でありながら職人でありたい。自分の思想の断片だけでも後世に残せたらと思うのだ。そんなことを日々ボクは考えている。

2010/11/02

才能を確固たる強みに変えるためにボクがしてること

今回もStrengths Finderがテーマである。本書の詳細についてはHash氏の「僕の脳回路はこのように繋がっている」に詳しいので、そちらを参考にして欲しい。

僕がStrengths Finderを4回受けていることは先日のエントリで紹介したが、今回はこれらの強みをどのように活かしていくかである。

正確にいえばこれらは自分の「強み」ではない。「潜在的な強み」であり、それに時間を投資しなければ確固たる武器にはならないのである。

本書では天性の才能と、経験によって身についた能力を区別している。以下が重要な3つの要素を定義である。

「才能」無意識に繰り返される思考、感情、行動パターン
「知識」学習と経験によって知り得た心理と教訓
「技術」行動のための手段

つまり3つの要素が組合わさって初めて強みが生まれるのである。下記は強みの形成に関するフレームワークである。

"Talent[a natural way of thinking, feeling, or behaving]×Investment[time spnet practicing, developing your skills, and building your knowledge base]=Strengths[the ability to consistently provide near-perfect performance]"
"Strengths-Based Leadership: Great Leaders, Teams, and Why People Follow " より抜粋


つまり〔才能〕×〔時間の投資(スキルや知識の習得)〕=〔強み〕が形成されていく。Strengths Finderで得た「才能(潜在的な強み)」に時間を投資して磨きをかけると、やがてそれが確固たる強みになるのだ。

したがって結果の把握よりも、如何にしてそれらを強みに変えていくか?の方が100倍重要である!

下記が僕が行っているアクションリストである。

【①収集欲】
•ブログを開設し、インプットした経験や書物を外にアウトプットする
•語学(英語、中国語)を学び、情報をグローバル化させる。和書、洋書を問わずインプットを継続
•ライティング力(日本語、英語、中国語)
•1つの専門分野を持つ
•分析力、ロジシン、仮説力、数字に強くなる
•海外一人旅。見聞を広める。経験を紙に落とす努力

【②内省】
•1日30分は1人の内省の時間を確保する
•1つのテーマを決めて、考えを深める
•ブログの継続

【③回復志向】
•自分の現状と理想のギャップを認識し、それに対するアプローチを考える
•問題意識を外に向ける。問題意識ノートを作成する
•迷った時は苦しい方を選ぶ

【④目標志向】
•短期、中期、長期目標を明確にする。なるべくクリアな(数値化できる)目標を持つ
•明日の予定は今日中にたて、毎日のタスクを小さな目標として認識する
•努力を継続する

【⑤調和性】
•MTGの際は異なる意見を1つにまとめる努力をする。コンセンサスビルダーのポジションを確保する
•初対面でも他者とラポールを築く努力をする

以上、才能を"確固たる強み"に変えるには?でした。

2010/10/29

僕の妄想癖~シナリオ思考のすすめ~

前回の「キャリアプランは持つな、海図を持とう!」でも触れたが、僕は不確実性の対処方法について関心がある。「如何に想定外な未来から身を守るべきか?」は万人に共通するテーマである。

僕は日常の物事をシナリオで考えるクセがある。プレゼンの前日も、就職活動も、彼女とのデートの前も、僕はいつもリアルな妄想をする。初デートの際も、頭の中で様々なシミュレーションを行って、実際に起こり得るであろう未来を描いていた。

今回紹介するのは日常の不確実性に対処する方法の1つである「シナリオ思考」である。(シナリオプラニングの詳細についてはまた次の機会にでも)ここで論じるシナリオとは「未来の環境がどうなるかを物語の形で体系的に表したもの」である。

重要なのは希望的観測(未来はこうなるはずだという考え)に縛られないことである。つまり楽観的な未来である「シナリオA」だけでなく、現実的なシナリオB、そして最悪の状況であるシナリオCという複数の脚本を用意することが大切だ。

最高のシナリオも最低のシナリオも、現実にはなかなか起こらない。つまり、自分のイベントはその最高(シナリオA)と最低(シナリオC)の間のどこかの道筋を辿るのである。要は最悪の事態を想定し、できるだけ最高に近づけるパフォーマンスをすれば良いのである。

シナリオ思考は未来を正確に予測することが目的ではない。複数の未来(ストーリー)を用意し、それに伴うリスクに如何に備えるか、そしてどのようなアクションを現在するべきか?を考え抜くことが重要である。

2010/10/22

ノミの実験から学ぶ「やる気の出し方」について

昨日はてっぺんの大嶋社長の講演会に行ってきた。テーマは「やる気を出すスイッチの入れ方」であった。てっぺんは「本気の朝礼」で知られており、毎朝従業員は朝礼で自分の夢を語らなければならない。


僕はといえば感情を表に出さない方であり、熱血な人間は少々苦手であるのだが、公演に来て頂いた大嶋社長は大変謙虚な方であり、物腰の低さが印象的だった。

彼は「やる気の出し方」について心理学で有名な「ノミの実験」を事例に挙げられていた。

1. ノミの実験について

ノミは通常2mの高さまでジャンプするそうだ。そのノミに高さ50cmほどの箱を被せると、ノミは天井を破ろうと努力をするが、やがて自分の限界に気づき50cmしか飛ばなくなるそうだ。そのノミは箱をどけても50cmしか飛べなくなるそうである。
つまり「心理的限界」を自分で作ってしまうのだ。しかし飛べなくなったノミを、また飛べるようにする方法が1つだけあると大嶋氏は講演されていた。

それは「自分以上に飛んでいる仲間」の姿を見せてあげることである。つまり違うノミを隣に置き、その違うノミが簡単に1m以上ジャンプするのを見ると、1m以上のジャンプができるようになるのだ。

人間も同様で自分よりも飛んでいる人に会いに行くことが重要である。その際のポイントは飛ぶまでのプロセス(どのようにして飛べるようになったのか?)にフォーカスすることが秘訣であるそうだ。

僕はといえば最近「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(ニコラス)を読了した直後の講演会であったので、人間の感情の相互的伝染、そして組織のポジティブマインドとネガティブマインドのバランスに関して気付きがあったので、また改めて考えてみることにする。

2010/10/12

国内でも英語力を維持する学習ツール

今回は国内でも英語力を維持するための学習ツールのまとめ。以下10個の英語学習ツールをシェアしてみたい。(随時追加!)

①TED

これは様々な分野の世界中の著名人のスピーチが無料で視聴できるサイトである。英語の字幕は当然表示可能で、中には日本語の字幕が選択可能なものもある。iPadアプリも充実しており、私は電車の移動中はいつも聴いている。


英語のプレゼンの参考にもなる。

②academic earth

アメリカのトップ大学(ハーバードやスタンフォード、MITなど)の講義が無料で視聴できるサイト。TED同様にアカデミックな内容が多い。

③レアジョブ

オンライン英会話サービス。25分129円という爆安さが人気を呼んでいる。無料体験が2回可能。フィリピン大学の学生が運営しているが、彼女らの発音も少し訛りがあるが、あまり気にならない。Speakingの維持には使えるツール。

④Lang-8 

語学学習者向けのSNSサイト。学習中の言語で日記を書くと、その言語を母国語とする人が添削をしてくれる。

私はLang-8でネイティブの友人を作る→スカイプでSpeakingの特訓という使い方をしていた。まずはサイトで外国人と仲良くなること。

⑤iknow!

TOEFL受験中にお世話になったサイト。基礎英語やTOEIC、ビジネス英語などの学習コンテンツが無料で利用できる。毎日のタスクが仕組み化されるので継続できる。GMAT対策もあったような。

⑥The Globalist

"The Globalist" "aims to provide current and up-to-date news analysis and perspectives on wide-ranging global issues that touch all global citizens"というオンライン・デイリー・マガジンだそうだ。

ハーバード大学ケネディスクールの学長だったJoseph Nyeなど、トップクラスの方々が寄稿されてるので、かなり質は高い。

⑦Friends

こちらは有名な海外ドラマシリーズ。映画でヒアリングを練習するのも良いが、日常会話に関してはFriendsが一番リアルな感じ。スラングなどユルイ英語を鍛える際に参考になる。

⑧Chatroulette

以前のエントリでも紹介したCatroulette。ランダムチャットサービスである。世界中の人々とランダムにチャットができる画期的なツール。最近はユーザーの質の低さが目立ち、10回に3回は変態と出会ってしまう。まさにルーレット。
 

これは英会話番組の講師として有名な大杉正明氏とスーザン岩本氏が毎回日本と英語圏の文化や風俗、習慣の違いをテーマに楽しいトークを繰り広げるポッドキャストサービス。大杉氏の絶妙なトークにハマってしまってしまい、最近はランニングの際に聞いている。


英語での議論(交渉、論議、討論、質疑応答)の際の表現集。整理されていて、インプットに最適。「負けない議論」のための一冊。

・まとめ

以上10つのツールのツールをまとめてみたが、案外日本でも英語学習が可能なことに驚いた。高額な英会話教室に通わなくても、低コスト(無料)で英会話はできるし、Lang-8ではライティング対策が可能である。

朝はTEDで講義を聴き、レアジョブで英会話、Lang-8でそのアウトプットを継続すれば、国内にいても留学生並に語学力を上げることができそうだ。

2010/09/09

プロフェッショナルとは?

2010年1月26日の日経新聞に2009年の公認会計士試験合格者のうち、3分の1に近い700人弱が不況の影響で就職できないという記事が掲載されていたのには驚いた。 "プロ"といわれる職業人が路頭に迷うのは何故だろうか。

今回のテーマはプロフェッショナルについてである。僕はミーハーな部分があり、この"プロフェッショナル"という華やかな言葉に反応してしまうのだが、果たしてこれは何を意味しているのだろうか。言葉だけが一人歩きし、意味の本質を取り違えているようにも思える。

従来プロフェッショナルといえば医師、会計士、弁護士、プログラマーがそれとされていた。数学や科学が得意なら医師に、国語や歴史が得意であれば弁護士になれといわれてきた。しかし時代がシフトするにつれ、それもまた変化しているように思える。「プロフェッショナルとは何か?」というテーマについて改めて考えてみたい。

①. プロフェッショナルとは何なのか?

wikipediaによると

またドラッカーは以下の言葉を述べている。


つまり1. 「仕事が他者によって代替されない」というのが欠かせない要素である。雇う側からみて、個々の労働者が「取り替え可能」であるならば、雇用は不安定になり、賃金は必然的に下がっていく。従来、プロフェッショナルとされていた会計士、弁護士、プログラマー達の職が失われつつあるのは「要素1」による欠如が大きいようである。

例えばアメリカでは"クイッケン"を始めとする家計簿ソフトが登場したことで、スペシャリストとしての会計士が提供する財務サービスの大半がコモディティ化されている。また"ファミリーロイヤー"では100ドルほどのパッケージソフトで、弁護士の仕事の大部分が代替されているのだ。

さらに経済のグローバル化により中国で生産できるものは中国で、ITなどインドでできるものはインドというように、少しでも人件費が安くすむ地域へ産業は引っ張られていく。
ダニエルピンク氏の「ハイコンセプト」ではグローバル化社会で生き抜くための条件として①「よその国、特に途上国にできることは避けること」②「コンピュータにできることは避けること」の2点を指摘されている。

果たしてプロフェッショナルの要素である「代替されない仕事」とは何だろうか?これが今回の大きなテーマであり、考え続けなければならない課題である。

②. 代替されない仕事とは何か?

百式管理人で有名な田口元氏の講演会に参加したことがある。パーソナルブランディングに関するテーマであり、彼はキャリアメイクのヒントとして以下の言葉を連呼していた。

「No1ではなく、オンリーワンを目指せ!」

今考えるとプロフェッショナルに関する良いヒントであるように思える。つまり「自分だけにしか出来ない仕事」=「代替されない仕事」である。したがって「自分にあった」「自分らしさ」「自分ならでは」という視点が重要である。

しかしこれを形成するのは難しい。パーソナルブランディングがプロフェッショナルへの近道であるという仮説をたててみたい。その方法として以下の2つのアプローチが考えてみた。

1 . 出来るだけ離れた専門分野を組み合わせること



これは有名なI型、T型、π型モデルである。横幅がバックグランド、縦幅は専門性を指している。従来のプロフェッショナル型は1つの専門を持ったT型が主流であったが、今後の"オンリーワン型" は2つの異なる専門性を組み合わせることがヒントになるだろう。例えば「法律」×「会計」や「農業」×「IT」などである。

2. 組織に依存せず、常に経営者目線で仕事をすること

人事コンサル事業で有名なリンクアンドモチベーションの小笹氏は「i-Company」を提唱している。これは自分を株式会社と見立てて、「自分株式会社」という企業の経営者意識を持つことを示している。

今後は会社の命じるまま動くのではなく、今後は個人が会社と交渉しながら、自らの意思でキャリアメイクとジョブ・ローテーションを行う時代である。 彼らが新たなプロフェッショナルとして時代をリードしていくのかもしれない。

以上、プロフェッショナルに関するエントリでした。

2010/05/07

21歳のアラバマ大学留学記/日本帰国前夜にて

日本帰国前夜という記憶が真新しいときに今回の留学の感想をつらつらと思いつくままに記してみたい。アメリカという土地は自分が頑張っただけ、返してくれるストレートな文化があった。どんなにくだらない意見でも耳を傾けてくれたし、自分の拙い英語にも真摯に答えてくれた。典型的な人見知りの私が頑張ってこれたのはアメリカという土地だったからかもしれない。「授業」「語学力」「プライベート」「今後の目標」の4点から留学生活を振り返りたいと思う。

1.授業

アメリカの授業は日本と比較をして非常にプラクティカルであった。勿論、経営学は机上の空論なのだけど、なるべく机上とリアルの境界線を外す仕組みがこちらでは確立されていた。

例えば交渉学の授業ではチームでネゴシエーションのシミュレーションのテストがあったし、アントレプレナーシップの授業では実際に50ドル以内という条件でキャンパスでリアルなビジネスを実際に展開した。私のプロジェクトは結果的に損失を出してしまったのだけど、普段の机上の学びを還元するという意味で良い経験になった。

2つ目に視野が広がったことだ。日本は1億人でアメリカを見ていたけど、アメリカでは3億人で世界を見つめていた。今や世界一大きい観覧車はシンガポールにあるし、最大のショッピングモールは中国にある。世界一の大富豪は最近までたった一人のメキシコ人がビルゲイツを抜いて頂点にたっていた。驚いたのはこうしたポストアメリカの事実を学生は理解していたことである。彼らは「自分が経営者であればどこに進出するだろうか?インドネシアだろうか?韓国はどうだろうか?」と自問自答していた。授業では“How to Negotiate with Chinese?”というケースやフランスのパフュームメーカーの事例を扱う機会もあった。日本から世界を見るのではなくて、 世界から日本という"島国"を見るという視点にパラダイムシフト出来たのはひとつの収穫である。

3つ目にフレームワークで考える癖がついたことだ。こちらの教授はBusiness CaseとTheoryが大好きであった。最初に大量のフレームワークを詰め込まれ、それをCaseを通じて消化していくという作業に慣れることができた。教授は「Theoryは地図のようなものだ。多くの地図を持てば持つほど最短で目的地に辿り着くことができる。」という言葉を連呼していた。勿論、完璧な地図は存在しない。だからこそ地図を持ちリアルな世界と照らし合わせながら、柔軟に調整していくことが「理論」という地図を活かす方法であることを学ぶことができた。

2.英語力

目標は大前研一が推奨する「結果の出せる英語力」であった。TOEICだとか資格レベルではなくて、相手を動かす英語力である。この目標に10ヶ月という期間で自分がどれだけ近づけたはわからない。未だに授業は7割程度しか理解できないし、グループミーティングでは議論についていけなくなることが頻繁にある。それでも最後のプロジェクトで自分の案が2つ通ったことは大きな成功体験であり自分の自信に繋がった。

またクラスでは"Diversity"を強烈に感じることができた。教授の一人は中国人であり不完全な英語で必死で教鞭を執っていたことが印象的だった。その中でインドからの留学生が不完全な英語で質問をして、もう一人のアメリカ人が議論を展開していく。学んだことはアメリカでもどこの国でも、多くの人が不完全な英語で結果を出しているのがグローバル社会であるということだ。

語学に関しても同様であり忘れてはならないのは「ノンネイティブとしての英語力」を身につけることである。いくら勉強しても英語に関しては発展途上であって、学びに終わりはない。学び続ける意思と謙虚な姿勢が大切ということに気づくことができた。

3.プライベート

一番苦労したのは私生活である。私は人と長時間喋ることはあまり得意ではなくて、日本語でも苦労するのだけれど、言うまでもなく留学生活ではこの自身の性格は相当のハンデであった。日本というフィールドを変えても自身のパーソナリティはついてまわるのであり、現地の学生と交流するのに当初は非常に苦労した。

感謝したいのはクラスの仲間に恵まれたことである。「授業で困ってないか?」「俺もスペイン語を習っているし、留学経験があるからお前の気持ちはわかるんだ。第二言語を学ぶということは大変なことだな。留学生活って孤独だし、つらいよな、だから何でも聞いてくれ」と彼は私に接してくれた。彼らの異文化を受け姿勢であったり、フランクなSay Helloの文化は積極的に吸収しようと思った。今思うと彼らのあの言葉があったから今までやってこれたのだ。

「大事なのは言葉ではない」これがプライベートから試行錯誤で感じたことだ。勿論、言語の壁は高くて、時々相手の言葉がわからなくなることも多いのだが、大事なのは相手のエモーショナルな部分を如何に感じることが出来るかだと思う。一緒に大声で笑ったり、叫んでみたり、そんなことを繰り返すうちに彼らとの距離は縮まっていった。当たり前だけど例え日本人であっても相手を完全に理解することは難しい。ならば、それでいいではないか。一緒に泣いたり笑ったりできさえすれば!と私は思ってしまうのだ。

4.負けない日本人として生きる

日本を出ると自分のナショナリティーを強く意識する。留学期間中はToyotaのリコール問題、JALの破綻とか様々なことが起きたけど、それらと連動して日本に関して意見を求めることも多かった。授業でToyotaが出てくれば、それは“Your Company”であり武士道は“Your Spirit”なのである。

留学中に志した2つの目標がある。

「負けない日本人として生きること」「日本を良くするために生きること」である。

司馬遼太郎の「坂之上の雲」に登場する秋山のように海外で学んだ「知」を日本に還元していく、日本をよくするために生きていくという情熱がそれである。海外に身を置く自分のナショナリティーを強く意識する。自分は日本人であるというプライドである。

留学時代の当初は挫折の連続であったし、自分の無力さを痛感したけれど、やった分だけストレートに答えてくれる文化がアメリカにはあった。自分の英語は通じると確信したし、日本人の私でも彼らと対等に議論できることがわかった。まだ日本も捨てたものではない。中国であろうが、インドであろうが、返り討ちにしてやる!という意気込みで猛烈に生きていきたい。

色々なことがあったけど、今回の留学はしてよかったなと思う。書き残したいことが沢山あってダラダラ書いてしまったけど、以上が「アラバマ大学留学記」でした。

10ヶ月間、有難うございました。



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2010/04/26

文系学生に未来はあるのか?

ばった君の「日本人文系に未来はないのか?」を読んでのエントリ

私も生粋の文系学生の一人であり、この話題にはかなり敏感である。結論からいえば理系の方が文系と比較してビジネスにおいて有利という仮説をたててみたい。

1. 文系学生>理系学生?/生涯賃金からの考察

文系・理系の生涯賃金の格差については、松繁寿和(大阪大学大学院助教授)の調査が著名である。国立大学の文系学部と理系学部の卒業生を対象に、その時点での年収を尋ねたところ、大学卒業直後は理系出身者の収入が高いが、管理職世代になるにつれて文系のほうが高いという結果が出た。

生涯賃金をシミュレーションすると、文理の格差は5200万円。家1軒分ほど、文系が生涯賃金で理系を上回るという。この原因として出世スピードの差を指摘している。エンジニアなどは上級職のポストが限られていることが関係しているらしい。

一見上記のデータから考察すると文系学生の方が賃金面において有利に見えるが、企業の寿命が短くなった今この通説は崩壊している。従来の賃金カーブが機能しないのは自明の理であり、出世競争で生き残れたとしても過去のような高給は保障されない。したがって生涯賃金から理系、文系に甲乙をつけるのには無理がある。


2. 理系がビジネスにおいて有利な理由

①数理ファイナンスに強いこと

ばった君の「文系に明日はないのか?」というエントリで興味深い指摘がされていた。

「昨日のコンパで、OBさんで外資系一流アセットマネジメント会社に入ってるOBさんと話しました。

その人が言うには、まず「文系の大学生は一流になれない」とのこと。
その人も文系なのですが、文系としてアセットマネジメントのトレーディングという部門で働いてきたことからの実感だそう。
文系の人間はコミュニケーションでしか勝つことができません。金融やマネジメントという数字を追いかける業種においては、統計学・数理ファイナンスを利用できる理系人間に結局のところ大事な仕事は集中します。

つまるところ自分が上に行きたいと感じているならば、文理系とわずその分野の専門知識をつけた上でコミュニケーションスキルを磨くしか方法はないようです。」

②専門を活かせること

2点目は彼らが学んできた専門科目を活かせることである。以下は有名なI型、T型、π型モデルである。横幅がバックグランド、縦幅は専門性を指している。



大前研一は「ビジネス上でサバイブするには以前は1つの専門を持ったT型が主流であったが、今後は2つの武器を持つπ型人間がスタンダードになる」と指摘していた。

理系学生でプログラミングのソースコードが書ける人は多い。さらに彼らは企業に入社後、ビジネスの世界に参入し、間単にファイナンスやら会計の知識を身につけてしまう。典型的なエンジニアであっても、彼らはMBAをキャリアチェンジに用い、ビジネスライクな生き方を歩んでいくことが可能だ。大前研一も早稲田の理工→東工大院→MIT→日立製作所→マッキンゼーという理系型のキャリアである。

また留学時代に出会ったインドからの留学生はIT(プログラミング)×会計×英語を当然のようにレバレッジを効かせていた。アジアの学生はπ型、もしくはそれ超えた「3本型」が主流である。いうまでもなく、文系学生は彼らに淘汰されてしまうだろう。

3. 文系学生に未来はあるか?

私たち文系学生に残された道は以下の2つしかない。理系学生のようにスペシャリストとして生きるか、またはジェネラリストを目指すかである。

①スペシャリストとして生きていく

1つ目は理系学生のようにπ型を目指す生き方である。経済/経営学出身の学生は会計、ファイナンスマーケなどの科目に慣れて親しんでいるので、それを磨いて自分の専門にしていくことが近道である。周りの優秀な文系学生は国家資格を目指し、専門職につく場合が多い。また会計系科目に加え、プログラミングを習得できれば理系学生と対等に戦うことができる。しかし確固たる努力が必要だ。

ちなみに渡辺氏は「ITアントレプレナーになりたい若者のみなさんはプログラミングを習得しましょう」という記事で、コードにできる重要性を説いていた。

②ジェネラリストとして生きていく

以下はtabbataさんのTweet
「ゼネラリストってのは、メタ思考とリーダーシップに関する専門家、複数の事象をまたいだものに普遍性を見出し、人間のモチベーションをマネジメントすることの専門家であるべきなのではないだろうか」

文系の強みはコミュニケーションである。活躍している起業家達は意外にも文系出身者であることが多い。それは理系学生と比較をすると、彼らの方が営業が得意であり、さらに人材管理に長けているからだ。優秀な文系学生は得意の人間力やネットワークを活かして、会社を興していく。

4. まとめ

文系と理系を比較してきたが、ポイントは「自分の適性を知ること」である。スペシャリスト型の参謀に向いている人間もいれば、Topで管理する経営者タイプもいる。まずは自身を見極めることである。

以上、生粋の文系である私に自戒の念も込めてのエントリでした。