2020/05/04

サルサの仕組みを知ること

サルサの曲の構成、仕組みを知ることがソーシャル上達のヒントになるというエントリ。

サルサダンスは即興のダンスだ。女性をダンスに誘えば、リーダーは1曲分のダンスストーリーを組み立てる必要がある。

どんな技を取り入れ、ターンをさせ、いつシャインをするのかを瞬時に考える。この創造的活動がサルサの醍醐味の1つなのであるが、かなり難易度が高い。サルサクラブではどんな曲がかかるかわからないし、知らない曲で踊ることが大半だからだ。

そこでヒントになるのがサルサの仕組みの理解である。他のポップスと同様に、サルサには型があり、それを頭に入れるだけで知らない曲でも即興でダンスをするヒントになる。

一般的にはサルサは5つのセクションで形成される。1. Intro、2. El Tema Princpal、3. Montuno、4. Mambo、5. Outroである。この型さえ理解し、どう踊るかという自分なりの指針があるだけで、ソーシャルはかなり楽になる(という実感がある) 

それでは順番にみていく。

1. Intro
まずメロディが始まる前のイントロだ。ダンサーにとってイントロは曲全体の雰囲気をつかみ、スタイルを決めるヒントになる。

曲調は明るいか、暗いのか、テンポははやいか、遅いのか、ロマンティカなのかなどを感じとり、自分はこの曲をどう踊るのかを仮説で良いので決めてしまう。

2.  EL TEMA PRINCPAL 
日本語でいうとヒラ歌である。このセクションはイントロ、Aメロ、Bメロ、サビの順番にすすむ。歌謡曲の構成に似ていることが特徴だ。

まず、ダンサーはいきなり激しい技からはじめてはいけない。Aメロ、Bメロ、サビに向かうに連れて音楽はエネルギーを持ち始めるので、ダンスのムーブメントもそれとともに徐々に成長させていくことが必要だ。サビに自分のピークをもってくる意識をする。

3. Montuno
Montunoはコーラスとヴォーカルのかけ合いである。ヴォーカルはコーラスにあわせて即興でメロディと歌詞を考えて歌う。

このセクションではメロディやリズムが何度も繰り返されるので、ダンサーは容易に次のメロディを想像できる。つまり、もっともムーブメントの音ハメがしやすい箇所である。

4. Mambo
曲の中でもっとも盛り上がるMambo、つまりホーンセクションだ。トランペット、トロンボーン、サックスなどがバーっとなる。

ダンスの構成においても、最もピークにもっていく必要がある。例えば、パートナーと手を話し、激しいシャインをしたり、フロア映えするスピーディーな技をかけていく。ダンサーの腕の見せ所である。

5. Outro
曲のエンディングである。ダンサーにとって、ダンスをどうパートナーと終わらせるかが決まる大事な場所だ。はじめのイントロとは逆でエネルギーを徐々におとしていく必要がある。

サルサの曲構成とダンサーが注意することをまとめたところで、その理解を深めるためのケーススタディとしてOliver Pinedaのソーシャルをみてみよう。

Oliver Pineda Social 

動画の曲の構成は下記の通りだ

Intro(1:00〜1:12)
Tema Princpal(1:13〜4:18)
Montuno(4:19〜4:54)
Mambo(4:55〜5:30)
Outro(5:46〜6:10)

2人が出会う静かなイントロの入り方、Tema Princpalの中のAメロ、Bメロ、サビに向かうにつれ、ダンスのエネルギーレベルをあげていく様子、Mamboセクションでのシャイン、そしてOutroでエネルギーを徐々に収束させていく様子は上質なソーシャルのヒントになる。

リーダーはダンス技術ばかり目が行きがちだけれども、たった3分間で曲にあった世界観をつくれるダンサーは魅力的だなと。